ご挨拶

地震予知総合研究振興会
会長 金沢 敏彦
 我が国は、海と陸のプレートが押し合う変動帯の上にあり、常に大小の地震に見舞われてきました。ひとたび大地震に襲われた場合、国民の生命・財産の損失や社会経済への影響はまさに国の命運を左右することにもなりかねません。少なくとも大地震の発生を予知し、被害を最小限に抑えたいということは、私どもの悲願であります。


 このため、斯界の英知を結集し、地震災害の軽減をはかるための地震予知および防災についての総合的な調査・研究を推進することにより、科学技術の振興をはかり、もって国民の生命・財産の保全に寄与することを目的として、1981年1月財団法人地震予知総合研究振興会は設立され、2012年4月公益財団法人に移行しました。


 当財団は、これまで40年近くにわたって、大学など関連分野の専門的な学術・技術的知見を活用しつつ、政府や民間の地震調査研究を支えるべく、総合的に調査・研究業務を推進して参りました。この間、1995年に兵庫県南部地震、2011年には東北地方太平洋沖地震と、言葉では言い表せないほどの衝撃的な被害をもたらした大震災が相次ぎ、また2016年に熊本地震、2018年に北海道胆振東部地震、2024年には能登半島地震も発生しました。このような災害が繰り返されないよう、先端的な調査・観測技術を活用しつつ、調査・研究に全力で取り組むことが私どもに課せられた使命であると考えます。


 最近では南海トラフ巨大地震や首都直下地震の発生が懸念されています。我が国の地震災害を最小限にするため、阪神・淡路大震災後に整備された陸域の地震観測網に加え、東日本大震災の未曽有の地震・津波災害をうけて、海域においても観測網の抜本的拡充・強化が図られつつあります。これらの新たな海と陸の一体的な観測網に関しても、私どもの知識経験を最大限に活用する所存です。


 今後も、地震予知および防災に関する社会的要請に積極的に対応して参りますので、よろしくご指導・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。