2011/3/2

世界最深の地殻活動総合観測
世界最深の地殻活動総合観測

世界最深の地殻活動総合観測

屏風山地殻活動総合観測点 深度1,020m

地震予知研究や地下深部の研究を進めるためには、地下深部における地球物理学的総合観測を可能にすることが重要です。兵庫県南部地震(1995年1月,マグニチュード7.2)において、前震が4個しか観測できず、前兆的変動が観測されませんでした。これは観測点が地表近くにあり、人工的なノイズが大きく信号の小さな前兆変化が隠されてしまったためです。地下深部において高感度の観測が可能になれば、このような問題は解決します。
東濃地震科学研究所(TRIES:トリース)は、1本の深いボアホールにおいて多項目の観測を可能にする計器の開発および計器の埋設設置方法を確立するための研究を、名古屋大学および東京大学地震研究所と共同で進行。屏風山断層の近傍に屏風山地殻活動総合観測点を建設しました。

屏風山地殻活動総合観測点の位置(図右の赤丸内)とその他の観測点との位置関係。図中央の緑四角印が瑞浪駅。(国土地理院発行 数値地図50mメッシュ(標高)を編集・加筆)

屏風山観測点1,020m孔の掘削およびデジタル式地殻活動総合観測装置埋設設置に使用した櫓(やぐら)

埋設設置直前の緩衝材に包まれたデジタル式地殻活動総合観測装置(赤丸内)

デジタル式地殻活動総合観測装置の埋設・設置

本観測点では2003年3月30日に、歪7成分、傾斜2成分、地震3成分、地磁気4成分および温度などを一度に観測する地殻活動総合観測装置を深度1,020mに埋設・設置し、連続観測を行っています。
このような深度における地殻活動総合観測は世界で最深のものです。

屏風山地殻活動総合観測点施設図と地質
屏風山地殻活動総合観測点施設図と地質

屏風山地殻活動総合観測点における観測記録例

2004年9月5日紀伊半島沖の地震(M7.1,M7.4)前後のボアホール水平歪計4成分の記録。地震時の歪記録に地震動(歪地震動)が記録されるとともに記録にずれ(歪ステップ)が観測されました。

2004年12月26日 Sumatra 地震(Mw9.1)前後のボアホール水平歪計4成分の記録。地震時の歪記録に歪地震動が観測されました。記録がなみうっているのは岩盤の潮汐変化(地球潮汐変化)です。

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