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2016/5/16
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- 地域地震防災研究
地域地震防災研究
東濃地震科学研究所(TRIES:トリース)の総合観測網が捉えた地震から、地域の震動特性を捉える研究をしています。気象庁から”瑞浪市は震度4です”と発表されても、この震度は瑞浪市消防本部で観測された値です。日吉地区などの中山間部地域や駅周辺地域では、震度3や震度5弱かもしれません。このような狭い範囲を対象とした地域の揺れやすさの分析を行うことで、揺れやすさを表すハザードマップ、さらには被害想定を表すリスクマップが出来上がります。
このリスクマップには、住宅の被害数(倒壊、全壊など)のほか、少子高齢化を考慮した人間被害(死傷者)や経済損失額(直接被害額)などの被害項目も含めたいと考えています。さらに、震災からの復興について、世帯を単位とした復興力(復元力)の研究も行っています。
揺れやすさの分布(東濃地域)
トリースの地震観測網から推定した東濃地域の揺れやすさ分布。地震観測点を●、活断層を赤線、市町村役場を◎、周辺域よりも揺れが大きくまたは小さくなる地域を赤色と青色で示しています。
地震防災がめざすもの
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- 東濃地震科学研究所が保持している
地震観測網と地震防災研究の概要
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- 地震災害の流れに基づいた
地震防災グループの研究課題(概要)
地域地震防災基準に関する基本問題研究委員会
〜震害の多様性の解明と対応〜
【1】:断層から地震基盤・地表面までの地震波の伝播特性の研究:地殻活動Gでは、微小地震観測網を整備し、加速度や歪み、応力地震波などを観測しています。この観測網で観測された地震波を活用し、また、地殻活動Gからの研究協力(参加)を得て、震度(揺れ易さ)、液状化危険度、斜面崩壊危険度などのHazard MapやRisk Mapへと繋げて行きます。
【2】:近年、多様な生活形態や少子高齢化社会に伴い被害も変化・深化し、その多様性が顕在化しています。既往の地震による被害と社会経済構造の変化を時系列的に整理し、被害の特徴(多様性など)を考究して行きます。特に、地震防災の原点である“人間被害”についても、災害弱者に注視しながら、その発災を考究し被害軽減のための問題を解明して行きます。
【3】:予防のためのプロセス分析を行うため、上記②の課題と連動しながら「なぜ、予防技術(ソフト面を含む)が住民へと展開して行かないのか」を主テーマとして分析する予定です。従来、予防のための取り組みを進めてきましたが、相変わらず地震の度に大きな被害が発生します。「被害が生まれる仕組み(発災)」を今一度見つめ直し、予防への道のりを探究して行きます。
【4】:郷土の「歴史と文化」や「生活と災害」などの視点を組み入れた新しい防災教育教材を児童・生徒とともに開発します。対象は、瑞浪市の小中高校生で教材作成に必要な情報は委員会から提供します。地域の児童・生徒さんを対象とする取り組みですが、先ずは、防災よりも地域を自慢できる歴史・文化・人間を知ってもらいたいと願っています。
【5】:被災後の地域の社会経済被害の情報収集と分析。復興計画・政策との関連や資料収集と整理:1995年阪神大震災、2007年新潟県中越地震、2011年東日本大震災、2016熊本地震などや被災地域の社会構造から経済損失額の推定に関する研究を行います。この研究は、「命と財産」を防災の基本からも、また、被災者、被災地域の復旧・復興に必要な課題です。先ずは、直接被害額推定式の開発などを行います。